幼い頃の子どもを見ていると、誰しも好奇心に満ち溢れ、目を輝かせて新しいものを吸収していくのですが、成長するにつれてその姿勢に個人差が現れます。気がつくと、勉強が嫌いになったり、できれば避けたいと思うようになり、親の心子知らずの状態に。どうしても子どもの悪い面に目が行きがちで、頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。
子どもを勉強に向かわせるには、いくつかの方法があります。最も理想的な方法は、その子の好奇心を刺激して、学びたいことに向かわせることです。興味を持つ教科や分野に偏りが出るのではと、心配される方も少なくないのですが、一つのことを得意にできるようになると、他の分野にも同じように関心を持つようになることが多いため、お薦めしています。
この方法は、勉強に苦手意識や嫌煙ムードが生れる前の小学生の時期に有効ですが、勉強に対するスタンスが固まる中学生以降の時期には、採用しにくいのが難点。読書を薦められて、本を買い与えたからといって、すでに読書を嫌煙する子が急に読書に励むようになるとは、考えにくいのと同じこと。この場合には、違うアプローチが必要になります。
中学生以降に必要なアプローチには、短期的な成功体験と中長期的な目標設定の両方が必要になります。短期的な成功体験とは、ズバリ定期テストでの成績アップです。少なくとも1教科で10点以上のアップを実現し、次のテストでは更なる成績アップが実現できるという自信を持つことが、勉強へのモティベーションを高めてくれます。
一方で、短期的な成績アップだけでは、次のテストでダウンした際に元の状態に戻ってしまう可能性があることや、子ども自身が学力が向上したという実感を持てないことがあるのも事実。そのため、併せて考える必要があるのが、将来どんな仕事に就きたいのかという、大きな将来設計です。自分の目標が決まると、それに合わせた進路も見えます。そこから逆算すると、今取り組む必要があることが理解でき、勉強に対する前向きな気持ちが生れます。
これら二つの要素が、中学生以上の子どもたちを勉強に向かわせるために欠かせないのですが、加えて知っておいてほしいのが、「なぜ勉強しなければいけないのか」という思いに対する理由です。これに応えるのは、実に難しいことなのですが、私は将来設計に関わることとして伝えています。
それは、今の時点での目標や将来設計を変えざるを得なくなった時や、他のことに興味を持った場合に、苦手なことが多いのと少ないのとでは、人生の選択の幅が大きく異なること。例えば、ある子が何らかのきっかけでSEやプログラマーになりたいと思っても、理系科目が苦手な場合には、大きな障壁となる可能性がありますが、基本だけでもしっかり自信が持てる状態なら、新たな可能性にチャレンジできるでしょう。
子どもには、文字通りの無限の可能性があります。それだけ聞くと、素晴らしいように思いますが、裏返せばそれだけ身に付けなければいけないことが、たくさんあるということでもあります。勉強や特定の科目から離れてしまうことは、その分だけ可能性を放棄してしまうことと同義。仕事のみならず、世の中は専門知識だけでなく教養とも結びついていることを認識できれば、勉強する意味が理解できると思います。
なかなかそこまで認識を深めることは難しいと思いますが、大人や親が「勉強することの意味」を自分なりに理解して、軸を持って子どもに伝えることが大切だと思います。そのためには、大人もしっかり勉強と向き合う姿勢を持つことが必要です。子どもにだけ勉強を要求する姿勢は、そろそろ脱却した方が良いのではないでしょうか。
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